下関学校支援sandwich

馬関まつり

理事長所信

はじめに

 日本がコロナ禍に突入して早くも2年が経過しました。マスクがニューノーマルとなり、人が集まることや移動は制限され、国難とも呼べる状況が依然として続いております。しかし、どの様な状況においても、JC運動を止めてはならないと考えております。

 歴史を振り返れば、下関青年会議所は、日本が戦後復興に向けて歩み始めた1953年5月4日28名の志高き青年により、国内41番目の地域青年会議所として誕生しました。先輩諸兄姉は、69年の長きに亘る歴史のなかで、その時代に常識とされていた価値観を否定し、新たな価値観をもって「まちづくり」や「ひとづくり」を通じて地域を牽引されてきました。
“かつてない困難からは、かつてない革新が生まれ、かつてない革新からはかつてない飛躍が生まれる”

 新型コロナウイルス感染症によって変化した人々の価値観や働き方、そして急速に進むデジタル社会を契機と捉え、既成概念にとらわれることなく、青年らしく行動してまいります。

新たな潮流×まちのポテンシャル

 下関市の人口は、1985年の32万人をピークに減少しており、2040年には20万人を切ると言われています。人口減少に歯止めをかけるためには、転入の促進、転出の抑制が必要であり、特に若い世代の定住を促進させる必要があります。人口減少に伴って地域の消費が減少し、それがまた人口減少へとつながる悪循環を招くことから、交流人口や関係人口を増加させて人の往来による賑わいを創出させることも必要です。

 コロナ禍を背景にテレワークや副業の普及など働き方の変化が加速したことで、政策の力では変えることができなかった人々の生活意識や行動に変化が生じています。これまでは何かと仕事の都合を優先し、生活面の充実は後回しにされがちでしたが、趣味や社会活動など個人のやりたいことにあわせて住む場所や仕事を選んだり、時間の使い方を変えたりなど、新しい人の流れが生まれつつあります。

 また、下関においては、下関港ウォーターフロント開発や下関北九州道路といったまちのイメージや人の流れを大きく変える開発も計画されております。しかし、市が実施したパブリックコメントなどから察する限りでは、行政と市民間の意識にはギャップがあることは否めません。大きな転換期を迎えようとしている今こそ、官民一体となって取り組む必要があるのではないでしょうか。

 新たな人の流れを作る取り組みや、これからのまちを見据えたビジョンを描き、活気に溢れる“しものせき” を目指して事業を展開してまいります。

スポーツのチカラ

 政府は、2012年の時点で5.5兆円だったスポーツ関連市場を、2025年には15兆円まで拡大することを目標に掲げており、スポーツを通じた地域・経済の活性化への期待が高まりつつあります。また、賛否両論が渦巻くなか開催された東京オリンピックではありましたが、スポーツが持つ多様な力によって、スポーツに対する関心が高まった方も多いのではないでしょうか。スポーツは、人々に夢や感動を与え、また、人々の交流を促進し、地域の一体感の醸成や活性化に寄与するなど様々な力を有しています。そして、人口減少・少子高齢化の進行する地方においては、交流人口の増加や地域産業の活性化に有効であると考えられます。

 下関では、美しい景観を活かした参加型スポーツイベント(下関海響マラソン、ツール・ド・しものせき)が成果を挙げております。しかし、全国各地でマラソン大会やサイクルイベントが開催され、供給過多の状態になりつつあります。今後も競争はエスカレートしていく恐れがあり、イベントの差別化や新たな領域の開拓が求められております。

 例えば、2019年に雨天のため中止にはなってしまいましたが、「横浜DeNAベイスターズ」球団創設70周年を記念して、創設の地である下関でのオープン戦が決まった時は、まちも大いに沸きました。そして、今では耳を疑うような話ですが、偶然にも下関青年会議所が創立された1953年に遡ると、旧・下関球場で日米野球「MLB オールスター対全パ・リーグ」の試合が開催されております。

 このように、地域の特性や歴史を活かしたスポーツイベントなどをまちづくりの一つの切り口として捉え、スポーツを地域資源として活用したまちづくりに取り組んでまいります。

教育の未来予想図

  AI(人工知能)の進化で、今のこども達が大人になる頃には、労働人口の約49%がAIやロボットに変わる可能性があると言われています。現時点では、あることが当然の職業が無くなっていたり、想像もできない職業が新たに生まれていることが想定されます。急速に変化する社会を生き抜く力を育てる方法として、IQや偏差値といった「認知能力」のみ重視するといった従来の傾向から、テストなどで数値化することが難しい内面的なスキル「非認知能力」や今までにないものを創造する力を育む「STEAM 教育」といった新しい教育方法に注目が高まってきています。しかし、認知度はまだ低く、全ての教育現場で積極的に取り組まれているわけではありません。教育は、経済学では投資と捉えられることがあります。「いつ」「何を」投資したら一番効果的なのかを考え、次代を担うこども達の育成に取り組んでまいります。

世界から愛される Shimonoseki へ

 下関港は、2019年4月に国際旅客船拠点形成港湾(国際クルーズ拠点港)に指定され、クルーズ船の寄港地としてインバウンドによる経済効果に期待が高まっておりました。しかし、2019年はクルーズ客船23隻が寄港しましたが、新型コロナウイルスの世界的な感染拡大により、2020年、2021年においては1度も寄港しておりません。加えて、国内の観光客も急減したことから、様々な産業に影響を及ぼしており、なかでも宿泊業や旅行業を含む生活娯楽関連サービスに深刻なダメージを与えています。

 “明けない夜はない”下関港が、国際クルーズ拠点港であることに変わりはなく、後の訪関につながるよう、SNS 等による消費者に対する継続的な情報発信が大切なのではないでしょうか。例えば、ほんの数年前までほとんど存在を知られることのなかった山口県長門市にある元乃隅神社の話は有名です。アメリカのニュース専門放送局CNNが「日本の最も美しい場所31選」として紹介しました。これを機に外国人観光客が続々と押し寄せ、国内でも注目を集めるようになりました。

 翌年(2023年)は、いよいよMSCクルーズ社と連携する国際クルーズ拠点の本格的な運用開始や星野リゾートが運営するホテルの開業も控えております。ウィズコロナ・アフターコロナの中においても、明るい希望が持てるように、国際的な視野で今できることを考え、まちの価値や可能性を見いだす事業を展開してまいります。

第43回、44回より託されたバトン

 高度経済成長期が終わり、戦後初の実質成長率マイナスを記録した1974年、まちの活性化の為に「歌と踊りとみんなの夜市」として下関市体育館周辺で始まった小さなまつりは、山口県下最大の40万人を越える人出で賑わうまつりへと成長しました。しかし、「第43回 馬関まつり」は、史上初めての開催中止。42年間に亘り市民の手によって大切に受け継がれた夏の夜の灯りは、新型コロナウイルス感染拡大の影響により途絶えてしまいました。第44回においては、2年ぶりの通常開催が期待されておりましたが、長引く感染拡大の影響により、人と人との接触を避けた新しいカタチで開催されました。約1万枚の写真によって制作されたモザイクアートには、市民の皆さまのかけがえのない物語がカタチとなって描かれておりました。家族や友人と写る笑顔の写真や迷子になって泣いてしまった小さなお子様など。私は、ここに市民祭である馬関まつりの本質があったように思えます。

 本年に開催予定の第45回においても、現段階では通常開催できる見通しは立っておりません。しかし、このように暗い世の中だからこそ、創始の理念であった「市民の笑顔」と「まちに活気」が必要な時なのではないでしょうか。今こそ原点に立ち返り、開催時期・規模・手法の再検討を行い、市民の皆さまと共に、再び夏の夜に灯りをともしてまいります。

個の力×組織力

 我々の活動は、総務系委員会の献身的な働きによる土台の上で成り立つことを忘れてはいけません。

 JCには、多種多様な優秀な人材が多数在籍しております。各人のスキルも強みといえますが、最大の強みは国際的なネットワークを持つ「組織力」ではないでしょうか。組織としての力を最大化するためには、情報共有は必要不可欠です。月に一度、全会員が集まる例会は、情報共有や組織の方向性を確認する機会であると同時に、会員同士の深い繋がりを築き上げる貴重な場であるため、出席義務があるとはいえ吸引力のある例会運営が必要です。

 また、ITなどの技術を活用した新しい手法の情報共有システム構築にも積極的に取り組み、組織力の更なる向上に努めてまいります。

 次に広報においては、我々は市民にどのような団体として認知されているのでしょうか。どんなに素晴らしい事業を行ったとしても、人々に認知され共感を生み出さなければ、我々の目指す運動とはかけ離れたボランティア活動となってしまいます。JC運動を展開していくために、より地域に密着した組織の存在を心がけていくと同時に、我々を応援してくれるファンを増やさねばなりません。

 地域の中でどの程度認知され、どのようなイメージを持たれているか客観的に分析を行い、効果的な広報戦略に取り組んでまいります。

これからのまちと組織のために

 JCは、私の価値観を変えてくれました。私が入会した動機は、仕事を増やしたい、人脈を広げたいなど、主語がすべて「私」でした。仕事あってのJC活動ですので、決して入会動機を否定しているわけではありません。誰かに強制されたわけでもありませんが、地域のことを真剣に考える志の高い先輩方や仲間と共に活動することで、個人の利益のためではなく、地域のために活動がしたいと考えを改めるようになりました。下関市には20歳から39歳までの人口が約4万4千人います。我々はその内の0.1%です。志を同じくする仲間が多ければ多いほど、ひとが変わり、地域が変わる。そして、より良い社会への実現に繋がると私は信じています。

 昨年は、コロナ禍の中で会員数を増加させました。このような時だからこそ、地域貢献や自身のスキルアップをしたいと入会を希望していただける方もいらっしゃいます。本年度においても積極的な会員拡大活動に取り組み、会員一丸となって、より多くの仲間を増やしてまいります。

多くの機会を学びに

 研修会では、JCの理念や会員としての心構えなど基本的な部分を学び、即戦力となる会員の育成を目指しますが、まずは一日も早く会に定着させることも研修会の役目であると考えます。同期会員の繋がりに自分の居場所を見つける者や同好会で見つける者もいます。理念や価値観は、組織に強制されるものではなく、人と人との出会いによって変化していくこともJCの魅力の一つではないでしょうか。多くの機会を提供することで、個性溢れる新入会員の育成に取り組みます。

 また、卒会による会員の入れ替わりによって、全会員の半数以上が3年未満の会員となり、地域や会の歴史、そして過去の事業を語れる会員が少なくなってきております。国交正常化前から半世紀に亘り続く「釜山JCとの交流」、長州出島を生み出した「アーバン 2001 構想」、馬関まつり誕生のきっかけとなった「歌と踊りとみんなの夜市」など、例を挙げれば切りがありませんが、先輩方はいつの時代においても果敢に挑戦することで偉大なレガシーを残されています。どのような時代背景で、先輩方は何を考え、どう動いたのか。69年の歴史には多くの学びがあります。

 会員の資質を向上させ、翌年に控えた創立70周年に向かって機運を高めてまいります。

結びに

 少子高齢化の中で、青年層の割合は年々減少しており、シルバー民主主義という言葉に代表されるように、青年の発言力はますます低下しています。JC は、まちや社会全体を青年の目線から幅広く捉え、社会課題の核心にアプローチしようとする青年組織です。青年の「声」と「行動」が、希望をもたらす変革の起点となることを信じて、様々な困難から決して目を逸らさずに、ともに挑戦してまいりましょう。

ルールや正解なんてない。

 頭で考えるより、心がワクワクすること、笑っている誰かを想像できること。

  挑戦しよう。

   進め、君らしく。

    ”心躍る”先には、明るい未来と成長した自分が待ってる。

                心躍るほうへ -進め、君らしく-

一般社団法人下関青年会議所
第69代理事長 山本 秀治

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