理事長所信

 ロストジェネレーションと評されている私達の時代は、バブルの崩壊と共に日本の様々な価値観が崩壊し、レールを失った世代でもあります。「覇気がない。根気がない。」などとよく言われる世代であります。
 その様な私が、2003年に下関青年会議所の門を叩くこととなり、当時の先輩方が子供の様に目を輝かせながら、まちの事を語り合い、夢を語らっている姿を見て、大きな衝撃を受け、聞いている私までもまちの未来を想像し胸が躍った事を忘れることが出来ません。

はじめに

 混沌とした現代社会を明るい豊かな社会に築き上げるのは、青年としての責務であります。
 1953年5月4日、28名の青年の手によって、日本で41番目のLOMとして設立された下関青年会議所は、戦後復興・高度経済成長・阪神淡路大震災・バブル崩壊・リーマンショック・東日本大震災・デフレ経済等の数々の困難を乗り越え62年後の現在も下関市に存在し続けております。それは、偏にまちの青年として誇りを持ち、夢にときめき・明日にきらめきを与える、まちづくりを続けてきたからに他ならないからであります。その歴史・誇りは、今後も皆の胸に引き継いでいかなくてはなりません。
 この様な下関青年会議所が、夢にときめき・明日にきらめきを与える事が出来、市民も下関に誇り感じていただければ、混沌とした現代社会を切り開き、更なる下関発展につなげて行けると確信しております。

LOM運営

 青年会議所は、単年度制でありますが、昨年度と本年度、本年度から次年度へとその年の輪を繋ぎ、単体の輪ではなく、鎖の様に連なりを作り、連綿と引き継がれる志・誇りを繋げて行っております。それにより、不連続の連続と云われる青年会議所事業、延いては青年会議所自体を繋げて行きたいと考えております。
 更に、総務系委員会は、会議や例会の企画・運営を行い、LOM内の取りまとめ等の庶務をこなし、青年会議所事業の土台としての役割を果たしております。それは、委員会の枠を越え会員の「輪」を繋ぐ事であり、下関青年会議所に「和」を創りだす事であります。
 近年、情報の受発信源として、インターネットが主流になりつつあり、下関青年会議所も、LOM内だけで情報を共有する事なく、青年会議所の事業、行事の告知・報告をネットに上げる事により、市民からの感想や意見をいただき、又、協力団体との情報の共有化を図り、下関市全体で情報・協力の「環」を創りだして行きたいと考えております。

人財育成

 明治維新を成し遂げ、新たな時代を創りだしたまちである長州は、その後、全国最多8名の総理大臣を輩出しております。この事を鑑みても山口県は、人を財として、上手に育成してきたことは、間違いない事実です。
 学ぶ事を止めた時に人の成長が終わるのではないでしょうか。言い換えれば、学ぶ事を止めない限り、人は成長し続ける事が出来ると思います。そして、前述した様に、人を財とし、育成する土壌を持つ私達は、世代を絞ることなく、下関市と共に成長していける人財を育成して行き、全国・全世界へと羽ばたける事を目指します。更に、優れた才能を持ちながらも世間に知られていない人財を世間に認知させ、応援して行く事も、青年会議所の使命であると考えます。又、人財を指導して行く人を育てる事が出来れば、下関は、人財の宝庫として未来を切り開いて行き続ける事が出来と信じています。
 青年会議所は40歳までの団体であります。下関青年会議所としては、私達が引き継いできた志を伝え、65周年・70周年・100周年・120周年と青年達が明るい豊かなまちづくりを行う団体として存在する事も責務であります。そのために、良きリーダーを育て、切磋琢磨する同志を増やし、互いに理解し合って行く事が必要となります。

国際・海峡都市戦略

 下関市は、三方海に開けた地形であり、本州の最西端のまちでもあります。更に、戦前・戦後大陸の玄関口として発展して来ました。この様な特色を活かしたまちづくりを行えば、下関市に誇りをもたらしてくれるものだと考えております。そして下関青年会議所は、世界でも珍しい釜山青年会議所・福岡青年会議所とトリオJCを結び、国内では海峡を挟む北九州青年会議所と友好JCであります。海外では、カガヤンディオロ青年会議所・マウントモンゴヌイ青年会議所とも姉妹JCであり、先輩方から多くの財産を受け継いでおります。
 立地的特色でもあります海峡を基軸としたまちづくりは、下関市のポテンシャルを大きく引き出すことになると考えます。歴史を顧みてもこの特色を活かすことによって、発展してきた事は疑う余地はありません。幸いにも海峡を挟む北九州青年会議所とは、友好JCで、協同してまちづくりが出来る環境にあり、意見交換をしながら事業を進めていければ大きく発展出来ると考えております。
 下関市を国際と云う視点で捉えても、大きなポテンシャルを有しています。近年、環日本海の都市は、北アメリカ・EUに並ぶ経済圏を形成しております。人工島の整備が進み、環境とビジョンを整えることが出来れば、大きなチャンスがあります。
 特色を活かし、風土・歴史に根差したまちづくりは、市民に郷土への誇りを与え、更なるまちの発展を後押してくれるものだと信じております。
 本年は、トリオ締結50周年で、更なる連携・友情を育くみ、60年・100年と強い絆を築いて行きます。

馬関まつり推進

 私達の先輩方が「歌と踊りとみんなの夜市」として始めた馬関まつりも本年度で第38回を迎え、現在では、山口県下最大級の市民祭となりました。下関市では既に夏の終わり、秋の始まりを告げる風物詩として市民に定着しております。
 馬関まつりを絵日記の一ページにせず、下関青年会議所の伝統から市民の伝統へと昇華する事を目指します。そのために、JCパークの運営に固執する事なく、運営団体、各会場と連携を取り合い、俯瞰的視点でも捉え、今まで以上に老若男女問わず全ての年代に、延いては下関市に活力を与える事の出来るまつりにして行きたいと考えております。

終わりに

 下関は多くの魅力を有し、高いポテンシャルを秘めたまちです。更に私達青年が、明日を語り、夢を語り合い、新たなアイデアを生み出し、ポテンシャルを引き出すことの出来るような事業を考え、実行して行く所存であります。

「志は気の帥なり」
 大志を抱き失敗を恐れず愚直に向かっていくことが出来るのが青年の特権であり、チャレンジ出来ることが、青年会議所の特徴です。
 一人から始まった運動が、まちを日本を世界を変革する。その可能性に市民も気付いたとき、その方々も夢を描く青年と共にその実現にむけて一歩を踏み出すのです。そこから、誇りが生まれると信じています。

2015年度 一般社団法人 下関青年会議所

第62代理事長 金丸 佳弘

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